3DCG制作:【ZEPETO】メタバースファッションアイテムリリースまでの道のり
Jul 20, 2023
アイテムはこちら
Flux Suit(フラックススーツ)
Glimmer Suit(グリマースーツ)
Pink Matrix Outfit(ピンクマトリックスアウトフィット)
今回のブログではアイテムリリースに向けどのように作られたか制作の流れを紹介します。
前段階として、画像生成AI「Midjourney」の画像をもとに洋服のパターンを作成し3Dモデルを作成しました。
ブログ記事はこちら
フローに沿って作成された3アイテムの着装モデルがこちらです。
ZEPETO用に作成したモデルがこちらです
3Dモデルをメタバースで扱えるデータにするには
メタバースプラットフォームで独自のモデルを使えるようにするには様々な制約があります。
大まかには
データフォーマットとファイルサイズ
3Dモデルは、プラットフォームが認識できるフォーマット(一般的には.objや.fbxなど)である必要があります。また、アップロードできる3Dモデルのファイルサイズに上限を設けているケースが多いため、容量内に収めるよう作成します。
ポリゴン数
多くのプラットフォームは、モデルの詳細度を表すポリゴン数に制限を設けています。これは、レンダリングの効率性やユーザーエクスペリエンスを保つためです。
ボーンの設定
ボーンとは3Dモデル内でキャラクターの動きを制御するための枠組みのことを指します。たとえば、キャラクターが腕を曲げる動作をするためには、腕の部分にボーンを設定し、その動きを制御する必要があります。各プラットフォームの標準的なボーン構造に合わせてボーンを設定し、その形状や動きを最適化する必要があります。
テクスチャやマテリアル
モデルの色情報を管理するテクスチャやマテリアルも、互換性のある形式で用意する必要があります。一部のプラットフォームでは、これらの要素にも制限が設けられていることがあります。
ZEPETO用 3Dモデルの作成
ZEPETOの制作ガイドラインを基にデータを調整します。
ポリゴン数を制約に沿って削減します。
削減前のデータはこのようにポリゴンがかなり細かい状態です。
「Quad Remesher」という自動で削減するツールを使って規定のポリゴン数におさめます。
削減後のデータです。最初の形状を保ちながら削減できました。
これでZEPETOで扱えるポリゴンの状態になりました。
削減後UV展開と色情報とマテリアルを割り当て質感を適用します。
※UV展開
3Dモデルの表面を2D平面に展開することで、テクスチャマッピング(色や模様を3Dモデルに貼り付ける方法)に必要なプロセスです。
次にZEPETOのアバターに合わせてリサイズを行います。
等身やポーズが違う状態なのでこれらを合わせます。
アイテムによっては部分的にサイズが合わず突き破ることがあるので
部分的に幅を調整しています。
ボーンとウェイトの設定を行います。
ウェイトとはボーンの動きをオブジェクトに反映させるために設定します。
ZEPETOのアバターに設定されているウェイトの情報をウェアのモデルに転送し、調整します。
関節を移動させメッシュの動きを確認し、影響範囲を調整します。
ゲームエンジンで確認・シミュレーションの追加
調整が完了したモデルをFBXに書き出し、UnityでZEPETO用のファイルを保存します。
Unity内で読み込み、シミュレーションの追加、アバターのサイズを切り替えたり、ポーズを変更し確認します。
審査
ZEPETOではオリジナルアイテムを公開する前に審査があります。
あらゆる体型で着用が可能か、他のアイテムと一緒に着用できる状態か確認が行われます。審査期間は1つのデータで2-3日程度でした。
審査を通過すると公開可能な状態になります。通過できなかったモデルは修正し再審査を行います。
3アイテムのうち1点再審査が入り、よく見ると細かい箇所でエラーがありました。丁寧に審査されていることが分かり今後のデータ作りの参考になりました。
終わりに
メタバースのファッションアイテムを制作するのはCGチームとしても初の試みで、学ぶことがたくさんありました。そして実際にいろんなユーザーがアイテムを着て写真を投稿していたり、ワールドで楽しんでいる様子がみれて面白いです。
制作フローの改善をしながら今後も新たなアイテムを追加していく予定です!楽しみにしていてください♪