CGデザイナーの視点からみたG-STARのAIデザインプロジェクト – OpenFashion Skip to content

CGデザイナーの視点からみたG-STARのAIデザインプロジェクト

こんにちは。オムニスの永島です。
今回は、デニムブランドのG-STAR RAW(ジースターロウ)が取り組んだ「初のAIデザインによるデニムクチュール作品」の記事紹介と、弊社CGデザイナー2名にその感想を聞いたので、ブログに書きたいと思います。

G-STAR RAW、G-STARとは

G-STAR RAW は、オランダのアムステルダムで1989年に誕生し、世界初の「立体裁断」デニムを発売し、デニムブランドとしての地位を確立したブランドです。

G-STAR(ジースター)は、その『G-Star RAW』ブランドの服飾・雑貨の卸売事業を展開している企業で、オランダ・アムステルダムに本社があり、2001年に「ジースターインターナショナル株式会社」としてジャパン社を設立しています。

G-STAR 記事紹介

G-STAR社(以下G-STAR)の記事G-STAR初のAIデザインによるデニムクチュール作品では、

「デニムの未来を創る」と銘打って、AI技術(Midjourney)を使ったデザイン模索から始まり、デニムケープの実物誕生までのプロセスなど制作の裏側のことが書かれています。プロンプトも公開してくれていますね。

G-STAR RAW 動画紹介

この動画では、デジタルデザインがいかに実物のクチュール作品へと形を成していったのかを見ることができます。動画には4つのシーンがあり、この工程で制作を進行していきます。


G-STARの取り組みについて
弊社 制作メンバーに感想を聞いてみた

CGチームでアパレル知見のあるふたりにインタビューしてみました。
両人(武藤・田波)ともアパレル出身者でCGデザイナーへ転身した経歴があります。

G-STAR×AIにみた、ものづくりの新時代

永島:G-STARの記事をみたきっかけや、動画をみての感想を聞かせてください。

田波:LINEファッションニュースに上がっていたのを見かけ、記事のタイトルに「AI」と書かれていたので目に留まりました。既に自分もMidjourneyを触り始めていた頃だったので余計敏感に反応したんだろうと思いますが、AIがどういう風にデザインしたんだろう?と興味を持ちました。
「ファッション×AI」というテーマと、アパレル企業がAIを取り入れてどういう結果になったのか関心があって記事を読み進めました。制作工程やワークフローがストーリー仕立てになってて動画の見せ方など、とても上手ですよね!

武藤:G-STAR RAWのようなシルエットを0から作るのは難しいと思っていて、その中でAI独特の突拍子もないデザインが形になるとこんなにもカッコよくなるんだなというのが第一印象でした。G-STAR RAWがMidjourneyで生成した画像のディテールと実際に制作された服を見ていくと、違いはあるんだけど全体の印象自体はそこまで変わらず統一感が保たれています。縫製や生地のクオリティが高く、なかなかこの品質まで持っていけないよというくらい完成度が高かかったです。デニムに特化したブランドなので、生地の特性などを熟知し良さを知ってるんだなと感じました。

Midjourneyからリアル服を作る大変さ

永島:普段私たちはCGで洋服を制作していますが、おふたりはG-STAR RAWのように実物まで作れたら面白いと思いますか?

田波:実際に作ってみたいと思う画像もありますね。これはどんな生地になるんだろうとか、そもそも布なの?とか、どこまでつながっているの?とか。AIが作った画像をそのままそっくり作るのは難しいですが、そこをどうやって作っていくか考えるのは楽しいかなと思います。CGだと着ることはできないので、実際の製品を作って着てみたいです。

永島:武藤さんは外部でパタンナー業もやられているので、一人で作れちゃいそうですよね?

武藤:一人だけでやってみたいとは思わないかも笑。一人で作ると多角的な視点が入ってこないので個人的には多分出来上がったものを見ても「ショボいな」と感じると思う。G-STAR RAWはプロフェッショナルな人たちが集まってチームで作っているので、それはなかなか真似できないかなと思います。生産現場的な感じの人とデザイナーがいる環境だとやりやすいかも知れないですね。

永島:G-STARは社内にデザイナーチームとMidjourneyチームを置いてますね、確かにそういう環境は大事かも知れません。
「AIでデザインしたものを実物に起こし完成させる」というのはやはり大変ですか?

武藤:大変だと思う。最終的に出来上がる服に対してどういうプロセスで進めていくかディレクションも必要になってくるので、そういう要素も含めた上で難しいと感じます。でも、G-STAR RAWをみて自分の中でここまで出来るんだというビジョンみたいなものにはなったし、特にAIの元画像からここまで印象を変えずに更にアップグレードした状態でデザインすることができるんだということが知れてよかったです。決して後ろ向きなわけではないですが、実際自分が作るってなったらどうなるんだ?という気持ちはありますね。

Midjourney×CG制作の相性は?

永島:Midjourneyの生成画像(デザイン)からCG制作する場合、リアル生産とどのような違いがありますか?

武藤:簡単には比較できないけど、CGだとどうしてもシミュレーションや干渉などが起きてしまうため、複雑なディテールを再現するのが結構難しかったりします。CGだといわゆるドレーピングなどもできないし。なんかうーん、そこはちょっと難しいよなと思ってるんですよね...笑。実際簡単にピンをつけてシルエット確認するみたいなことは、現状のCLOの使い方だと難しかったりするので。

田波:確かにそういう難しさはありますよね。とはいえ、今回のG-STAR RAWのケープのようなものを作ろうとした場合、CGもリアルもそれぞれ難しそうですよね。動画では、ケープの下の服もきちんと作られていたのですごいなと思います。それをみたら、CGで見えるところだけ作るならCGのほうが簡単なのかなとも思いました。 

AIと人間が創造する一期一会のデザインの世界

永島:G-STARの記事に載っていたプロンプトを打ってMidjourneyで画像生成を試してみたんですが、G-STARと同じような感じの絵にはならなかったです。動画にも映っていたように、代表的なプロンプトに必要な要素を付け加えたり調整してると思うんですが、個人的にはそこの部分に魅力を感じています。OMNIS社内でも ”プロンプトアーティスト”という言葉が出ていましたよね。プロンプトの打ち方、打つ人次第で結果が変化するのが面白いですね。

武藤:出てきたアイテムが良いのか、モデルが良いのか、背景が良いのか。どういうものが出てくるかによって全く受ける印象が違ってくるので。みんなのMidjourney生成画像を見ても、それぞれに「その人らしさ」があって面白いですよね。
“G-STARと同じような感じの絵にはならなかった” のは、G-STARでもどんどん画像生成して最終的に良さそうな画像を選んでいってたけど、その選び方の違いもあるのかなと思います。

永島:そうですね。画像生成後の選定方法も重要ですよね。
田波さんはどうですか?

田波:デザインが自分の頭の中に明確にあるときは自分で絵を書けば良いので、まだイメージを想像できていない段階でMidjourneyを使うと面白いと思っています。デザインをアシストしてくれる、相棒、相談相手みたいな感じでMidjourneyがアシストしてくれるから、誰でもデザイナーになれる感じはありますよね。一方で、Midjourneyの設定方法やデザインなどある程度の知識がないと「ただ偶然できたいい画像」になることもあるなと感じました。

永島:その偶然性もまた、Midjourneyの魅力の一つと考えていいのかも知れませんね。二度と同じ画像が生成されないという特性も、その希少性に目を向ければむしろ強みと言えるかも知れません。誰でも扱うことができるからこそ、Midjourneyは使う人の知見やセンスが問われますよね。

「AI×人間」で新しいものを生み出す。いままでできなかった人ができるようになる。将来性のあるデザインツールのひとつとして、今後も色んなかたちでMidjourneyを活用していければいいですね!

最後に、G-STARさんの公開プロンプトを使って
Midjourneyで各自画像生成してみました

様々なデザインが出てきて面白かったです!

AIが生み出したデニムケープ
プロンプト: デニム、モデル着用、有機的な形状、ミニマル、対比、先進的で斬新な鎧、テックウェアファッション、白背景、4K

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みなさんもぜひ試してみてください!

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