3DCG制作:【ZEPETO:11月リリースアイテム】Music Neon Coat
Nov 15, 2023
はじめに
こんにちは☺
先日新たにリリースしましたアイテムの制作内容について簡単にご紹介できればと思います。
アイテムはこちらから↓
コート:Music Neon Coat(ミュージックネオンコート)
アイテムのテーマとデザイン
テーマ
Intersection of digital and physical_Coat of Music*(デジタルとリアルの交差点_音楽の装い)
今回の作品は、ロングコートをテーマにしたコンテストにて選ばれた作品です。
この作品で一番特徴的な赤いラインは、音の波動が可視化されたような幻想的な雰囲気があります。
テーマの中に”Coat of Music”とあったので音楽を装うイメージも感じます。
デザイン
コートとパーカー
ウエア自体はかなりシンプルにしています。
少しカジュアル感を出したく、また、Refの袖の感じがラグランにみえなくもないな…という観察もありラグランスリーブを採用。
フードはどちらかというと立たせつつも、すっきりみえるようにスウェットのフードとマウンテンパーカーのようなフードとの相みつをとっています。
襟は画像のように自然に立たせるようにCLOのシミュレーションで調整を行っています。
赤いライン
特徴的な赤いラインはエフェクトを活用して、ZEPETOでの着用時に過度に主張しないように注意しつつ動的に表現しました。
初期のデザインの段階ではマテリアルも比較的シンプルにしていましたが、袖口や裾にグラデーションを組み合わせて、エフェクトとうまく調和するように仕上げました。
そしてこちらが今回制作したZEPETOのモデルになります。
今回の制作のポイント
エフェクト
今回初めてエフェクトに挑戦しました。
エフェクト作成では様々なモジュールを掛け合わせて制作します。
大きく分けるとエフェクト全体に関係するメインモジュール(緑枠内)と、それに組み合わせて使用するモジュールに分かれるのですが、
全部で23種類もあり各モジュールの仕様を理解するのにも大変時間がかかりました。
今回のエフェクトの特徴は、指定された場所で軌道を描くような動きと
さらにその軌道をキャラクターの動きにに追従させているところです。
まず軌道を描くエフェクトですが、Velocity over Lifetimeモジュールで作成しています。
※下のGif動画はわかりやすいようにShapeモジュールを外した状態です。
X、Y、Zのそれぞれの方向に軌道を作ることができます。また、マイナス値を入れることも可能です。
軌道を描くのに難しかったのは軌道の大きさのコントロールです。
軌道の大きさ=距離。
距離=パーティクルの寿命×パーティクルのスピードになるので、常に掛け合わせで考えなければいけません。
↓ Start Lifetimeは固定、Start Speedの数値を増やした場合
↓ Start Speedは固定、Start Lifetimeの数値を下げた場合
また、パーティクルに尾をつけるためには一番シンプルそうだったTrailモジュールを使用しています。
キャラクターに追従させる方法は一度やってみるととてもシンプルです。
まずはBlenderで新規のボーンを作成し、ZEPETOのボーンと親子関係にします。
今回のケースでは新規のボーンを3つ作成し、それぞれ以下の親子関係を作成しています
親のボーン名
|
|
---|---|
右手
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lowerArmTwist_R
|
左手
|
lowerArmTwist_L
|
裾
|
chest_scale
|
そしてUnity上で新規のボーンの直下にパーティクルシステムを追加すれば、追従したエフェクトが出来ます。
ただし注意点としては、ZEPETOのボーンにはスケールが含まれているものがあり、そのボーンを親にした場合は体型の変化によってエフェクトのスケールも変わります。
今回場合だと裾のエフェクトは体型の変化によって変わるようにし、手首のエフェクトは体型が変化しても手首の太さに大きな変動がないので、変化しないボーンを親にしています。
QuadRemesher
QuadRemesherは自動でリトポロジーを行ってくれる有料のアドオンです。
これまで制作ではMDのリトポロジーの機能をメインで使っていましたが、手作業が多い為最近ではQuadRemesherの利用を積極的に行っています。
QuadRemesherを使用したリトポロジーの作業は、とても簡単ですがいくつかポイントがあるのでご紹介します。
使用時のポイント
QUadRemesherには「Use Materials」という機能があり、割り当てられたマテリアルを元にリトポロジーを行ってくれます。
この機能を使うことでメッシュの流れをある程度コントロールすることが可能になります。
マテリアルは接するパーツのところで分けるのがポイントです。↓こちらは完成したものです。
以下は失敗例。
テーラーカラーの部分や、袖はパーツとして独立していなかったので最初はマテリアルを分けずにリトポロジーを行っていました。
テーラーカラーはマテリアルを分けていないと丁度襟が返るところでガタつきます。
また袖も後にZEPETOで動かすことを想定すると、一周ぐるっとしている方が好ましいので肘あたりでマテリアルを分けたほうが確実です。
そしてこのマテリアルを割り当てる際、元々パーツが分かれている場合はUVやリンク選択などで簡単に設定を行えますが
今回のコートの襟のような場所はなかなか選択するのが難しいです。
また袖の肘から下を選択するのもかなり大変です。(特別デザインの指定が無い限りここでパーツが切り替わるケースはほぼ無いので選択しようとすると右のような状態になります。)
その際に非常に重要になるのが「内部線」です。
CLOやMDの機能に「内部線」があるのですが、この内部線を追加するとメッシュの切り替わりになるので、Blenderで選択する際の境界線として利用することができます。
マテリアル
エッジに色を付ける方法
今回のコートには、袖口や裾のグラデーションに加えて、エッジの部分にも色を入れています。
この方法はテクスチャーを使用せず、Blenderのノードだけで表現しており汎用性も高いです。他のテクスチャーとの組み合わせも簡単にできるのでお勧めです。
ノードはこちら↓
GeometryノードのPointness(凸部分)を使うことでまずエッジを検出します。
そして、ColorRumpでエッジの範囲を調整しさらにRGBCurveで影響される範囲を調整します。
あとは色をmixさせてあげるだけです。
おわりに
少し盛りだくさんの内容となってしまいましたが、新しくリリースしましたウエアの制作内容についてご紹介しました。
チームでは日々新しいワークフローや手法の開拓を行ってます。
現在進行形で制作中のモデルでも新たな挑戦をしているので、次回も是非楽しみにしていただけると嬉しいです☺